2013年10月13日日曜日

PalmVx

今までで一番実用的だったPDAはこれかもしれない。
何しろ、速かった。
待たされることはなかった。
アプリケーションボタンを押す前から次の画面が飛び出すかの様な速さだった。
音楽の再生も動画の扱いもできず、ゲームウォッチに近いゲームを入れてビープ音で楽しんだり、白黒の写真を無理して入れるのが楽しい端末であった。
メールのやりとりや、読みたいウェブページのテキスト部分を読み込んで、オフラインでゆっくり読めたりした。
これをインターネットに繋ごうという考えを持つ必要もなかった。
全てのアプリケーションにまたがって検索をかけることができた。
これと同じような機能を今の技術で再現できないかと思うが、見た目が派手になっていくだけで、同様のものは見かけない。
当時他の会社から似た様なデバイスが出ていたが、それらは眼中になく、開発側は「ライバルは紙とペン」であると言っていた。
難しい操作はひとつもなく、付属のペンで直感的に全ての操作ができた。
特に、テキストを選択してコピーしたり貼り付けたりする作業は今のスマートフォンやiPhoneでは考えられないほどなめらかにできた。
グラフィティーの入力方法も、画期的で、このジェスチャーを覚えていくことで、コピペのコマンドも実行できた。
カレンダーに予定を書き込む時はタイムラインに一瞬タップしてからグラフィティーエリアにいきなり書き始める。それだけ。保存の動作もない。いつ保存されたかわからない内に保存されていく。これは現在のソフトも見習ってほしい。
オプションであった折りたたみキーボードが秀逸で、ATOKと組み合わせればデスクトップ並みに快適なタイピングができた。
極めつけは、クレイドルにのせてボタンを押すだけで全てのデータを同期したことだ。
1日に数分クレイドルに置いておけば、充電は完了して、数日使い続けることができる。
屋内でも屋外でもはっきりと見える。
これはPDAとして完成品だったのかもしれない。
これ以上を望むべきではなかったのかもしれない。

今もネットで探してもう一度使いたいとも思うが、あいにくubuntuとの相性がよくない。
また、接続ケーブルがUSBではなかったために、旧パソコンでないとつなげない。
外部端子を持たなかったので、接続ケーブルと専用ソフトがなければデータを流用できない。
また、グラフィティーエリアにペンでなぞりまくるので、例え保護シートをつけて使ったとしても私の場合は画面が2年持たなかった。


この頃、周囲はケータイ電話がブレイクしていて、より画素数の高いカメラを搭載したり、音楽が聞けるようになっていた。
白黒で通信もできないこのPDAの良さを心から理解できる人たちがあまりに少なかった。
「ライバルは紙とペン」
派手な商品はバッテリーの消費を減らしてモバイルと反対方向へ流れがちになって残念だ。
今だからこそ、Palmの様なPDAが、また店頭に並んで人々を驚かせてほしいものだ。


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